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管理人がどうやってオンライン小説サイトを作っていったのか、その実体験によるノウハウや悪戦苦闘の日々をつづるWEB小説制作日記ブログです。 ちょっと変わった独自システム付きのネット小説サイトを運営しています。
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書きたい小説があるのに、どうしても上手く書けない・筆が止まる(キーボードを叩く手が止まる)という、いわゆる“スランプは、人間なら誰でも陥りかねない現象です。
 
そんなスランプ状態に陥った時、どうすれば再び小説を書けるようになるのか――その方法を知っていれば、スランプになったからと言って過剰に焦ることも苦しむこともなく、冷静にスランプ脱出へ向け行動を起こしていけるはずです。
 
とは言え、物書きといっても執筆スタイルメンタル・マネジメント方法も人それぞれ違っているでしょうから、万人に通じる方法というものは存在しないと思います。
 
ですので、今回ご紹介するのは、あくまで管理人の個人的な経験に基づく“スランプ脱出法”――星の数ほどあるかも知れないスランプ克服メソッドのうちの“1つ”、ということになります。
 
ですが、それでも管理人と同じタイプの物書きさんには充分役立つ内容でしょうし、そうでなくても何かの参考やヒントにはなるかも知れません。
 
…ということで、実際過去にひどいスランプを経験した管理人が、その期間中に何をしてきたのか、どうやってスランプを克服したのかを、以下にまとめてみました。
無理に書こうとしない
まず大切なのは、スランプになった時に無理して執筆しようとしないことです。

かつて実際にスランプに陥った時、管理人は自分の書くもの全てが拙く、くだらない文章に見えて、かなりモチベーションが落ちていました。

そんな時にそんな状態のまま無理に文章を書いていっても、自分の文章の下手さに嫌気が差して、ますます落ち込むばかりの悪循環にしかなりません。

スランプ中は“インプット期間”と心得る
ならば「文章を書く」代わりに何をすれば良いのか――。

答えは簡単。ひたすら「文章を読め」ば良いのです。

「書く」ことはできなくても「読む」ことならできます。

小説が駄目なら、マンガでも図鑑でも資料本でも良いのです。
あるいはアニメでもドラマでも雑学クイズ番組でも良いのです。
後々、自分の小説の糧となるような知識を、ひたすらに蓄えましょう。

できるなら「後学のために勉強する」という切迫感を持って読む(観る)より、一人の読者・視聴者として“楽しみ”ながら、自然と知識を身につけていけることが望ましいと思います。
「好きこそものの上手なれ」のことわざがあるように、人間イヤイヤ学んだことより、楽しんで身につけたものの方が数倍役に立ったりしますので…。
 
ちなみに自分の場合、当初はべつに意識して知識をインプットしていたわけではありませんでした。
ただ単に「それしかできなかったから」インプットしていただけです。
ですが後になって、その時身につけた知識やメソッドが、確実に現在の自分の執筆の“基礎”になっていることに気づかされたのです。
 
「小説を書く」というアウトプット(出力)作業をするためには、先にそのために必要な知識や技術をインプット(入力)しておく必要があるのだということ――スランプに陥るのは、そのインプット量が充分でないからで、スランプ期間というものはそのインプットを行うための大切な期間なのだと、今の自分はそう思っています。

執筆メソッドを組み直す
スランプ期間は、自分の執筆スタイルを見つめ直すチャンスでもあります。

上手く書けなくなったということは、現在の自分の執筆スタイルあるいはメソッド(方法)に「無理がある」のかも知れません。
ここで一旦立ち止まって、それまで自分が「どういう風に、どういう手順で」小説を書いていたのかに意識を向けてみてください。
 
また、世の中には「小説の書き方」や「文章の書き方」などのハウツー本や、ベストセラー作家が「どういう風に小説を書いているか」というインタビュー記事など、執筆メソッドを組み立てるのに役立つ知識がいろいろ存在しています。

もちろん前述の通り、執筆スタイルが十人十色な以上、読んだハウツーの全てが役に立つわけではありませんが、参考にはなるはずです。
そして「自分に合っている」と思える執筆メソッドを見つけたら、それを真似れば良いのです。
 
ちなみに自分の場合、単純に「小説の書き方」のメソッドだけを探していたわけではありません。
「小論文の書き方」「わかりやすい文章の書き方」「人に伝わる文章」等々…一見「小説」と直接関係のないタイトルの本や記事でも、読めば小説に“応用”できるものは、意外とあるものです。
また、小説家でなく漫画家やドラマのプロデューサーのインタビューなどでも、メンタル・マネジメント的なことや読者(視聴者)との向き合い方など、やはり参考にできる部分はあったりします。
 
「小説」という狭いカテゴリーの中だけで探さずに、様々な可能性を考えて広く知識を求めれば、それまで見つからなかった問題解決方法が、意外とアッサリ見つかったりすることもあるものです。

スランプ中でもネタはメモする
「どうせ書けないから」と言って、良いネタを見つけたり、良いアイディアを思いついても何もせずにスルーするのはもったいなさ過ぎます。

その時は「忘れない」と思ったアイディアも、人はいつの間にか日常の雑多な記憶に紛れ込ませて忘れてしまうものです。

たとえ小説という形にできなくても、ネタやアイディアは書きとめておきましょう。
それは後でスランプを抜けられた時に役立つかも知れませんし、書き貯めたネタ帳やアイディア・メモを眺めているうちに「書きたい」というモチベーションが上がってきて、スランプ脱出のきっかけになるかも知れません。

小説という“形”に縛られずに文章を書いてみる
スランプ中、自分が文章を一切書いていなかったかと言うと、そうではありません。
「小説」は書いていませんでしたが、「日記」や「散文」や「アイディア・メモ」という形で文章は書いていました。
(あと、学校のレポートやゼミ発表用のレジュメなども…。)
 
「上手く書こう」という気負いも何もなく、多少失敗したからと言って小説執筆の時のように凹むこともなく、気楽に書いていた文章――これらもまた、文章スキルを上げ、スランプ克服につながる大事な一歩一歩になっていたように思い
ます。
 
そして何より自分がスランプを抜ける決定的なきっかけとなったもの――それは、PCでノベル・ゲームを作れる無料プログラムを知って「何か作りたいなー」と何の気なしにゲーム用シナリオを書いたことでした。
ゲーム用の“シナリオ”なので、書いたものと言えばキャラクターの会話だけ、「(かぎカッコ)」の外の文章はほとんど無いようなモノでしたが、それを書いている時にハッと気づいたのです。

「自分、ストーリーが書けているじゃん!」と。
 
それは長いストーリーの中の一場面を切り取っただけのシナリオでしたが、その台詞回しのクオリティーはスランプに陥る以前の自分が書いてきたものとは雲泥の差と言って良いほど劇的に変わっていました。
 
今になって振り返り分析してみると、おそらくはスランプ期間中に“小説”という枠に囚われず、様々な知識・技術を貪欲に吸収したこと、散文やレポートなど、それまでに書いてこなかった様々なスタイルの文章に挑戦してきたことで、自分の中の“引き出し”がいつの間にか膨大に増殖していたのが原因かと思われます。
 
(ちなみにその時作ろうとしていたゲームというのはGAIN〇Xさんの「プリンセス・メ〇カー」のような育成シミュレーション・ゲーム(育成対象に様々な「おけいこ」や「お仕事」をさせて、各パラメーター値の変化で性格も変わり、結末も変わっていく、みたいな…。)でした。普通はノベル・ゲームを作るためのプログラムなのですが「ランダム変数があるなら普通にSLGも作れるよね」という感じで…。正直、当初はシナリオより、見よう見まねで既存ゲームと同じようなシステムを自作プログラムで組めるというのが楽しくてやっていた感じです。結局、シナリオが“昔の電話帳並み”に膨大になってきて中断せざるをえなくなりましたが…。)
こうして考えてみれば、スランプ期間とは決してマイナスなものではないのかも知れません。
 
それは自分の殻を打ち破るための壁であり、必要な試練だったのかも知れません。
 
…まぁ、それはそのスランプに上手く対処できるかどうかにもかかっているのかも知れませんが…。
 

 
関連記事>自分なりのメソッドを作ってスランプ予防
 

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前の記事「小説プロットの作り方2」でご紹介した「起承転結からのプロットの組み立て方法」は、わりと「大雑把」というか「ざっくり」したプロットの組み立て方でしたので、今回はもう少し細かいプロットの組み立て方法をまとめていきます。
 
これは自分がウェブ小説「夢見の島の眠れる女神(夢の降る島シリーズ第1話)」で実際に使ったプロットの書き方なのですが…
 
それは「その小説を全何章(全何話)で構成するか」を予め決めておき、その章ごと内容アイディアを箇条書き、もしくはメモ書きしていく方法です。
 
津籠のウェブ小説サイト「言ノ葉ノ森」を初期からご訪問くださっている方ならご存知かと思いますが、「夢見の島の眠れる女神」は連載をスタートした当初から“予め”最終章までの章タイトルを「もくじ」ページに表示していました。
 
(ただし、そのうち3つの章は「演出のため」、完結した現在でも「もくじ」では章タイトルを伏せています。←理由は本編を最後まで読んでいただくと分かるかと思いますが、要するに章タイトルからのネタバレ防止するためです。)
 
つまり連載を開始した時から(と言うより、連載する前から)その小説が「全何章の構成」で、「それぞれの章にどんな内容を書くか」は既に決まっていた、ということです。
 
この方法では各章の内容が大雑把にでも決まっていないと連載が始められないため、前準備には時間がかかります。
しかし、実際に連載が始まってからは「それぞれの章で何を書くかが最初から最後まで既に決まっている」ため、少なくともストーリー展開で悩み行き詰まることはありません
 
(ただし、そのストーリーを「どうやって文章に書き表すか」「どうすれば上手く描写できるか」という部分で悩むことはありますが…。)
 
…で、そんな章の構成と内容を実際どうやって決めていくのかですが……
 
自分の場合、それは「章タイトルのインスピレイション」で決めていました。
 
どういうことかと言うと、「第1章にはこんなタイトルをつけて、次の章はこんなタイトルにしよう…」という風に「自分の気分がアガる章タイトル」を、頭の中のぼんやりしたアイディアに「名付けて」いくことで、イメージを固め、プロットを作り上げていった、ということです。
 
たとえば自分は章タイトルにも工夫を凝らすのが好きなので「夢見の島の眠れる女神」の場合も、(前述の章タイトルを伏せた3つの章以外は)「全ての章タイトルに“”という一字を入れる」というアイディアを持っていました。
 
そのアイディアを元に、まだぼんやりモヤモヤしていた頭の中のストーリー・イメージに「君の生まれた日の夢」「夢鉱石の谷」「星のめぐる夜の夢」「悪夢の宴」などと章タイトルを「名付けて」いったのです。
 
イメージというのは面白いもので、名前の無い時にはモヤモヤしてとらえどころがないのに、名前を付けた途端、それがどんなイメージなのかハッキリ固まったりすることがあります。
 
自分にとっての章タイトルはそんな風に章ごとの内容を固めるための「コンセプト」であり「キャッチ・フレーズ」であり「章の概要を一言で表したモノ」でもあるのです。
 
また、章タイトルを名付ける際には、その「順番」についても予め検討していました。
 
たとえば「第1章は“世界観設定説明パート”でもあるから、章タイトルはシリーズ・タイトルと同じ夢の降る島』にして、空から夢が降ってくるシーンを入れよう」だとか「エピローグの1つ前の章は『物語の“締め”らしい』章タイトルで『夢路の果て』にしよう」だとか「物語の中盤に“悪夢”との戦いの章が続くから、その前あたりに『悪夢の予兆』というタイトルの章を入れて、バトル・シーン前の“嵐の前の静けさ”にしてメリハリをつけよう」だとか…。
 
中には「ストーリー・アイディアから章タイトルが出来上がった」のではなく、「章タイトルを先に思いついて、そのタイトルに合わせてストーリーを作っていった」という章もあります。
 
また、小説を「いくつの章で構成するのか」ということも、こうして「この部分に、こんな章タイトルを入れたい」と章を追加したりいろいろしているうちに、いつの間にか決まっていたりします。
 
実際「夢見の島の眠れる女神」は、そうして小説を構成する全15章(←プロローグ・エピローグ・断章と12の章を合わせて)全てに章タイトルをつけ終わった時、それがそのままこの小説のプロットにもなっていました
 
(特に「夢見の島の眠れる女神」の場合は、もくじで章タイトルを伏せているプロローグ・エピローグ・断章の果たす役割が大きいので、それらの章タイトルと「断章をどこに入れるか」は小説の構成に大きな影響を与えました。)
 
結構「クセの強い」「個性的な」プロットの作り方かも知れないので、万人に当てはまる方法かどうかは分かりませんが、個人的には「モチベーションの維持にもつながる、楽しく、気分のアガるプロットの書き方」だと思っていますので、参考にしてみてください。


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小説プロットの書き方と言っても、個人個人でいろいろやり方は違うと思います。
 
自分は他の方のやり方は知りませんので、あくまで自分が実際にやって「やりやすかった」作り方で説明することになりますが…
 
それは「起承転結」のそれぞれのポイントを先に決めて、そこから逆算してストーリーを組み立てていく方式です。
 
具体的に言うと、まずは紙にそれぞれ充分な間隔を空けて「起」「承」「転」「結」の見出しを書き、それぞれの項目をアイディアで埋めていく、という作業です。
(自分は「花咲く夜に君の名を呼ぶ」のプロットを実際にこの方式で作りました。)
 
「起」は「物語をどんな風に始めたいか」、「結」は「物語をどんな風に終わらせたいか」、「転」は「物語のクライマックスをどんな風にしたいか」です。
 
(「承」については後述。)
 
自分の場合、まず重視するのは「結」――物語の締めくくり方です。
なぜなら、物語の「着地点」が見えていれば、そこまでの道筋も立てやすいからです。

とは言え、毎度必ず「完全なる結末」を考えているわけではありません。
物語は完結してしまえば「おしまい」ですので、これからも「つづき」を書きたければ完全に締めてしまうわけにはいきません。
 
しかし「シリーズ中の1つの話」にも「それなりの締めくくり」があった方が、起承転結がハッキリして物語がキレイにまとまります
 
なので、そんな締め方――物語の“エンディング”のシーンを頭の中に思い描き、それを「結」の項目に箇条書きなりメモ書きなりしておきます。
 
(自分の場合、この『頭の中に思い描く』というのは、映画のワンシーンを頭の中に流すような感覚で“動画”としてシーンを想像することが多いです。それを言葉に書き起こしていきます。)
 
「転」は、その「結」に至る前の重要なヤマ場であり、物語全体の「クライマックス」でもあります。
 
(RPG的なファンタジーで言ったらラスボス戦でどう戦うか、といった部分に当たるかと思います。)
 
ここでいかに鮮やかな「転」を見せられるかで、物語自体の評価も変わってきてしまうと思います。
なので「どうしたら盛り上がるか」「燃える展開になるか」知恵を絞り、そのアイディアを書き起こしていきます。
 
できれば読者の予想を裏切るサプライズ展開を入れたいところですが、こればかりはアイディアの閃きと筆力次第ですので、なかなか難しいところです…。
 
「起」は物語のプロローグであり導入部です。
物語をどんな場面(シーン)から始めたいか、初めてその物語に触れる読者に、まず何を見せていきたいのか、そのアイディアを書き起こしていきます。
 
そして、「承」……。
なにげにこの部分が起承転結の中で一番難しいかも知れません。
 
「起」と「転」の間にある“ツナギ”のようなこの部分、ただダラダラと思いつくシーンを思いつく限り書いていくのも自由だとは思います。
しかし、そうやって無計画にダラダラ書いていくと、ダレたりマンネリ化する危険があります。
それは下手すると読者離れを起こしかねない重大なリスクだと思うのです。
 
なので、そうならないためには「承」の中でもメリハリをつけ、小規模な山場を作って読者を「飽きさせない」工夫をすることです。
 
また、「承」には“ツナギ”の他にも重要な役割があります。
まず一つは、読者に物語の世界観や設定を伝える部分だということ。
もう一つは、「転」や「結」でサプライズを起こすための「伏線」を潜ませていく部分だということです。
 
なので実は、「転」「結」までに書いておくべき「設定」「世界観」「伏線」を逆算でピックアップし、どういう順番でストーリー中に出していくかを書き起こしていくだけで、「承」のプロットはある程度埋まっていったりするのです。
 
(実際、「花咲く夜に君の名を呼ぶ」の「承」部分は、ほぼ設定説明と伏線だけでストーリーができあがっています。)
 
ただ、世界観説明や伏線は「マニュアル」や「解説書」のような「説明文」になってしまうと読者に退屈がられかねません。
なので、退屈にならず、しかも分かりやすくする「工夫」が必要となってきます。
 
個人的には一部のゲームのチュートリアルのように、ゲーム開始直後くらいにちょっとしたミニ・ゲームやミニ・クエストがあって、実際にプレイしながらシステムを学べるような「あの感じ」を、小説でも出せればいいなぁと思っています。
 
何にせよ、大事なのはプロットにアイディアを「書きっ放し」にするのではなく、一旦書いたそれを自分で見つめ直し、「もっと面白くできないか」あるいは「本当にそれで完結まで書ききれるのか」を考え、試行錯誤していく作業だと思います。
 
プロットはそうやって、実際に執筆に取りかかる前に作品の出来を「シミュレーション」するためにあるものだとも思いますので。
 
ちなみに「プロットの作り方」、津籠は実験的に、作品ごとに違う様々なやり方で作ってみているのですが、別のやり方についてはそのうちにまた書いてみたいと思います。
 
(ちなみに「プロットを書く以前に、その起承転結のアイディアが思い浮かばない!」という方は、参考になるかどうは分かりませんが過去記事「アイディアの断片をストックせよ!」「アイディアひらめきスキルをアップ!」など参照してみてください。)


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まず、プロットとはカンタンに言うとこれから書く小説の「設計図」のようなモノです。
 
その形態は小説をダイジェスト形式にまとめた「あらすじ」のようであったり、もっと単純なストーリーの要点のみを記した「メモ書き」だったりと、人あるいは業界により様々です。
 
小説を書く上では、まずこの「プロット」を作り、それに沿ってストーリーを執筆していくことが大切だと言われていますが…
 
そもそもこのプロット「必ず作る必要があるモノなのか?」と思っている方もいらっしゃることでしょう。
 
結論から先に言えば「必要性はともかくとして、なるべくプロットは作れるようにしておいた方がいい」と自分は思っています。
 
プロットを作らなくても頭の中だけで完璧に小説を構築でき、それを実際に形にできる能力を持った方なら、こと「作品を作るという点において」プロットを作る必要性は無いと思います。
 
しかし、それでも「プロットを作れるようにしておいた方がいい」理由として、まず挙げられるのが「あなたがもしプロの作家を目指しているのなら、プロットはいつか必ず必要になる」からです。
 
プロというものは自分一人だけでなく、一緒に仕事をする“他人”(たとえば小説家なら担当編集者など)が存在するものです。
 
自分一人でストーリーのアイディア出しから実際の小説執筆→完結まで全部を終えられるアマチュアのうちなら、プロットなど無くても(それでクオリティーの高い小説が書けるなら)問題はありません。
 
しかしプロになり、一から新しい作品を創ることにでもなれば、その小説の企画段階から他人と打ち合わせをし、内容を練っていくという作業が必要になります。
 
そして、そんな初期の打ち合わせ段階で完成した小説を提示できるはずもなく、そこでは企画書としての「プロット」が必要になってくるわけです。
 
今の時代は出版不況。
 
新しい作品の企画は、よほど面白そうでヒットが見込めそうなモノでないと、そうそう編集部内の会議を通らないという話を噂でよく耳にします。
 
そんな状況下において、プロットの出来は、作品が今後世に出るかどうかを左右する重要なものとなってくるはずです。
 
もちろん「プロットを作るスキル」と「実際に小説を書き上げるスキル」は別物です。
 
短編小説やあらすじを書くのが得意な作家とそうでない作家がいるように、プロットが下手でも上手い小説を書ける作家はいるはずです。
 
しかしシビアな会議の場で、外側から見ただけでは決して分からない“それ”が考慮されるとは思えません。
 
それに人間は目先のインパクトやプレゼンの上手さに騙されがちな生き物です。
 
(昨今、プレゼンテーションの重要性が叫ばれ、大学教育の場でもプレゼンの授業が多く取り入れられるのはその辺りの事情からなのかも知れませんね。)
 
なので、これから作る小説の「サンプル」であり「見本」であるプロットが、誰が見ても面白そうに見える「すごいプロット」であるに越したことはないのです。
 
(もっとも、新規の書き下ろしでも何でもなく、ネット上にUPしてあった小説をそのまま書籍化するというだけなら、プロットも何も必要ないとは思うのですが…。) 
 
それにプロットが上手に作れれば、「構成力」という点において小説のクオリティーUPできる可能性が高いのです。
 
小説には、ミクロ的な巧さとマクロ的な巧さが存在します。
 
ミクロ(極小)的な巧さは「文章の巧さ」「台詞まわしの面白さ」など、場面場面での魅力。
 
マクロ(極大)的な巧さは「構成力」――あっと驚くサプライズや、展開の巧さ、ストーリーテリングの巧みさなどです。
 
そしてマクロ的な巧さは小説全体を俯瞰で眺めないと上達しない種類のモノだと自分は思っています。
 
プロットも何も無く、ただその場面その場面を執筆していくばかりだと、今書いている場面だけに思考が囚われてしまい、なかなかストーリーを「全体像で眺める」ことができなくなる気がするのです。
 
それに「あっと驚くサプライズを演出」するためには、その前段階で巧みに伏線を絡ませておく必要があります。
 
そんな重要な伏線を、ぼんやり執筆していてウッカリ書き忘れないためにも、プロットに「この場面でこの伏線を入れる」ということをしっかり書いておいた方が、後で何かと便利です。
 
それと自分はプロットとは、ストーリーの“因果関係”を記すものだと思っています。
 
「この場面でこういうことがあったから、後にこういうことが起こる」という因果関係――すなわち、点(場面)と点を線でつなぐような作業をプロットを通じて行うことで、自然と構成力が身につくように思うのです。
 
実際、自分が「プロットを作ってから小説を書く」ということを始めたのはネット・デビュー作である「花咲く夜に君の名を呼ぶ」からですが、それ以前に書いていた作品と比べて構成力は雲泥の差だと感じています(←もちろん当人比で)。
 
(何しろ「花咲く…」は前半ほぼ伏線のみでストーリーが構築されているような小説ですので。…まぁ、そんな津籠のプロットも、現時点では他の方にお見せできないような(見てもらっても内容が解読できないような)“メモ書き図式”状態ですので、あまり大きなことは言えないのですが…。)
 
また、例え「実際にプロットを作らなくても、頭の中だけで全て組み立てられるし、物語完結まで書き上げられるから、必要ない」という人であっても、一度は「プロットを実際に紙に書き出し、それを元に小説を最後まで書き上げる」という作業をしてみると、プロット組み立てから執筆までの一連の作業工程(どの時点で何をどうすれば良いのか)が“可視化”され分かりやすくなるので、次回からよりスムーズに頭の中でプロット組み立てができるようになると思います。(←津籠自身の経験談によるものです。)


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不特定多数の人々へ向けて小説を“発信”する上で問題となってくることの一つが「読者のニーズにどう応えるのか」「読者の“求めているもの”と作者の“書きたいもの”との折り合いをどうつけていくのか」ということです。

もちろん「人気なんてどうでもいいや」「これは自分のためだけに書いている小説なんだ!」ということであれば読者のニーズを考える必要も無く、ただひたすらに自分の書きたいものだけを追求していけば良いわけです。

しかし「誰かに読んでもらいたい」「人気が欲しい」のであれば「読者がどんな小説を求めているか」を考えることが重要になってきます。

ただし「読者のニーズ」や「小説の中で今一番人気のあるジャンル」が、必ずしも作者の書きたいものと同じとは限りません。
また、書くには書けても「上手くは書けない」不得意な分野だったり、好きな分野ではないので「モチベーションが上がらない」という問題が発生してくる可能性もあります。

そういった問題もひっくるめて、では、実際どうしたら良いのか…方法は、いくつか考えられます。

まず一つは「自分の書きたい小説の“ニーズがありそうな市場”を探す」ことです。

ネット小説と一口に言っても、小説を投稿できるサイトさんは沢山ありますし、自作サイトを検索サイトさんに登録するにしても、その検索サイトさんも沢山あります。
そして、小説投稿サイトや検索サイトごとに、その特徴や読者層は違っているのです。

ある小説投稿サイトを見て「ここで人気のある小説って、何だか自分の書く小説とは方向性が全然違うな」「ジャンルが偏ってるな。しかもそのジャンル、自分の不得意なやつだ」などと思ったなら、そこは避けて、自分と趣味・嗜好の似た読者が集まりそうなサイトを探していくことも一つの手段だと思います。

ただし、そもそもその趣味・嗜好がニッチでマイナーなジャンルの場合、そこにニーズを持っている読者人口自体が少ない可能性は否めません。
その場合はもう「この市場を自分が開拓するんだ!」くらいな勢いと熱意で、そのジャンルの魅力を様々な手段で事あるごとにアピールし、ターゲットを少しずつ広げていくしか道は無いのかも知れません。

以上は「自分の書きたいものを絶対に譲らない・妥協しない」場合の方法ですが、もっと現実的な方法としては「読者のニーズと自分の書きたいものとの間で妥協点を見つけていく」という方法が挙げられます。

そのためには、まず自分の中の「絶対に譲れないこだわり」と「そうでない部分」をハッキリさせていくことです。

小説を書くにあたり、自分が絶対に書きたい部分とは何なのか――ジャンルか、世界観か、キャラクターか、テーマ性か、ストーリーか……それを改めて見つめ直し、小説を書く上で絶対に譲れない“”の部分をハッキリさせたなら、それ以外の部分は柔軟に読者のニーズを受け入れられるようにしておくことです。

たとえば「このキャラクターが描きたい!」というのが核にあり、けれどその世界観やジャンルが現在あまり人気の無いものだった場合、そのキャラクターを活かして世界観・ジャンルを人気のあるものに移し変えられないか、考えてみるのです。
たとえば「このキャラの話、最初は近未来SFで考えてたけど、異世界ファンタジーに変えても何とかイケるかな?」といったように…。

ただし、これには少々頭の柔らかさが必要となってきます。
ジャンル・世界観・キャラクター・テーマ・ストーリーを、絶対不可分な一体のものとして考えていると「どこか一部でも変えるなんて無理!」となってしまいます。

あらかじめ小説の要素をバラバラの積み木のブロックのように考え、組み合わせを自由に変えられるように思考を柔軟にしておくと、読者のニーズに応える場合のみならず、設定やプロット段階で行き詰ってしまった場合など、様々な場面で何かと役に立ちます。

それと、ある意味最も有効な手段とも言える方法が一つ――それは「今、人気のあるジャンルを自分自身も好きになる」ことです。

第一印象で「何でこんなのが人気なんだ」「つまらないじゃないか」などと思ったとしても、そのまま毛嫌いしないで、そこに何か面白い要素は無いか、自分でもハマれる要素は無いかと先入観を取り払った目で見つめ直してみるのです。

自分の場合は幼稚園児並みに好奇心旺盛でギャグ漫画から万葉集まで全て美味しく頂ける節操無しなので、そもそも「このジャンル無理」というのが(ホラーや過度なバイオレンス以外はほとんど)無いのですが…ただ、とあるジャンルで面白くない小説を読んだ時には、そのジャンル自体がつまらないと思うのではなく「ここをこう料理すれば美味しく頂けるのにな」「自分だったらこう創るな」というのを考えます。

第一印象で苦手だと思った人間を、意外なきっかけで見直したり好きになったりすることがあるように、真っ直ぐに向き合ってみればつまらないと思っていたジャンルの中にも何か1つくらい、自分の好きになれる要素が見つかるかも知れません。

……とは言え今挙げた方法は全て、そもそも作者自身が読者のニーズというものをちゃんと把握できていてこそ有効な方法ではあるのですが……。

今の世の中はとにかくニーズの読みづらい時代であるように思えます。
流行ったかと思うとすぐに廃れたり、意外なものが急に人気を博したり……何がウケるか分からない時代と言えるのかも知れません。
なのでもしかすると、そんな時代の流れにより浮き沈みする上辺だけのニーズではなく、いつの時代にも人々が求めてやまない普遍的なニーズ、人間という生き物の根底にあるニーズを追い求めていくことこそが、真のニーズ追求と言えるのかも知れません。

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